どこで産む?助産所か病院か

妊娠が確定後、まもなくして、どこで産むのかを決めなければなりません。

出産施設を選ぶ時にどのようなことを基準にしたらよいのか悩んだことはないでしょうか。

マタニティ雑誌などには、様々な出産施設の読者体験記などの記事も見かけます。

出産施設は年々減少しており、集約化されているのが現状です。

地域によっては、選ぶ余地なく、出産ができる産婦人科はひとつだけ、というところもあるでしょう。

母子手帳をもらう段階で、出産施設を決めていない方も少なくなく、「どこがおすすめですか?」と聞かれることもよくあります。

  • おいしくて豪華な食事がある
  • 一世一代の出産だから、きれいな個室で、エステがあるところがいい
  • 家から近いならどこでもいい
  • とにかく安いところで
  • おすすめのところで

など、様々な意見を聞きます。

個々の希望や事情により、優先事項があると思いますが。

選ぶ余地がある場合は、しっかり家族で話し合い、情報収集をして決めることが一番です。

今回は、出産施設の中でも大きく分別される、病院と助産所(自宅出産含む)についてお伝えしたいと思います。

現在、日本では99%が病院での出産です。

どちらでも働いた経験がある私から言えることは

病院で生もう!

 

なぜなら

リスクを最小限にし、母子の安全を最優先に考える

ただそれだの理由です。

それを踏まえて、それぞれの施設の特徴などを交えながらお話したいと思います。

助産所とは

助産所とは、助産師が管理する施設のことです。

正常経過の妊娠出産は、問診やエコー、血圧、尿タンパクなどの一般的な妊婦健診、新生児の保健指導のほか、正常分娩であれば助産師が医師の指示を必要とせずに分娩介助ができます。

ただし、助産所では、医療行為はできません。

一般的な妊婦健診以外の血液検査や感染症の検査、子宮頸がん検査などは医療行為にあたるため、連携医療機関で検査を行います。

また異常があった場合は、救急搬送、もしくは時間的に余裕があれば連携医療機関を受診し、そこでの妊娠管理や出産となる場合もあります。

異常とは、切迫流早産の徴候がある、母体や胎児の精密検査が必要である、母子の状態が悪くなった、分娩がうまく進まない、分娩後の出血が多いときなど、なんらかの医療的介入が必要である場合です。

 

家庭的で、リラックスした雰囲気で産みたい

分娩台での出産は嫌だ

医療的介入をしない出産をしたい

 

助産所を選ぶ理由は様々だと思いますが、そこには通常の出産プラスαのリスクを覆う覚悟で選んでほしいと思います。

 

私自身、助産所でも働いていたので、助産所の良いところも十分承知しています。

医療行為はできませんが、その分母子の状態には常に配慮しており、ちょっとでも気になる所見はないか、正常を逸脱していないか、連携医療機関と連絡を取りながら、安全な妊娠出産となるようにケアしています。

どちらで働く助産師も妊娠出産のプロだと誇りをもって働いているので、安全安楽な出産を支援するという気持ちは同じです。

しかし、妊娠出産では、「母子の安全」が最優先されるべきだと思っています。

病院での出産

病院とは、ここでは個人の産婦人科診療所、大学病院、総合病院のことを指しています。

これらに共通することは、医師や助産師等が在籍し、医療行為が可能であることです。

施設により人的資源、設備投資、緊急手術体制、輸血のスットク、出産の自由度、ホスピタリティなどに差があります。

総合病院や大学病院は、NICUやMFICUをもつ施設もあり、周産期医療に関してはもっとも整備されていると言えます。

複数の診療科があるため、連携が取りやすく

特に何かしらの持病がある妊婦さんにとっては心強いでしょう。

ただ、大きな病院が故に待ち時間が長い、殺伐とした雰囲気、妊婦健診の担当医が毎回変わり馴染めない、研修医や学生がたくさんいて嫌だ、緊張するなどの意見も聞かれています。

また、妊婦健診のみでエコー録画などのサービス的要素は期待できません。

個人の診療所では、アットホームな雰囲気がありつつ、夜間診療や土曜診療があったり、自由度も高い印象です。

基本的に医師は固定されており、信頼関係も築きやすい環境です。

また、4Dエコーのオプション、録画サービスなどを実施しているところも多いです。

ただ、個人病院での医療資源も限界があるため、緊急帝王切開など緊急時の対応について確認しておきましょう。

緊急搬送時は、ベッドが空いている病院となるので、自宅からかなり遠方の病院となる場合がもあります。

病院での出産は、いかにも医療的な雰囲気で冷たいイメージを思っているかもしれません。

しかし、適切な管理のもと、母子ともに安全に、安楽に過ごし、出産を迎えることができるように医師、助産師、看護師などなど、協力してサポートさせて頂いています!

院内助産所について

病院を選ぶ余地がある方で、助産所での出産を考えているかたは「院内助産所」を利用するのもひとつです。

院内助産所とは、家族も含めて家庭的な雰囲気のお産を目指しつつ、出産時異常があれば産科医が、出産後赤ちゃんに異常があれば小児科医が対応するという体制です。助産所のもつ暖かさと、病院の安全性を備えるという両方の良さを兼ね揃えたシステムです。

助産師外来や院内助産院というスタイルをもつ病院も増えてきました。

ローリスクで正常妊娠経過の方は、助産師の検診を受け、病院内に設置された助産所で助産師の介助ものと出産できます。

安全安楽を基盤に妊婦さん一人一人に寄り添ったケアを提供しようという思いから少しづつ進歩してきました。

助産院を全否定するつもりはありません。

病院で産んだからといって、絶対に安全かというとそれも違います。

どこでもゼロリスクは不可能ですが、よりローリスクを選ぶことを考えると病院での出産をお勧めます。

妊娠出産は命がけ

「妊娠出産は病気じゃない」

という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。

確かに、健康保険も使えないし、病気ではありません。

しかし、妊娠していない状態と比べると、もちろんリスクはあるのです。

何があるかわからないのが、妊娠出産。

妊婦健診で順調だと言われた翌日に胎児が危機的な状況になり緊急手術!

妊婦検診も順調で、合併症もなく、元気に赤ちゃんが生まれましたというお産でも、産後に出血多量で輸血!手術!

そのようなことも正直あります。

人手も少なく、輸血や緊急時の即対応が不可能な助産所よりは、緊急事態に早く対応できる病院がより安全であるのは明確なことです。

 

まさか、自分が緊急帝王切開になるなんて

まさか、自分がこんなことになるなんて

 

みんな、最悪の事態になると想像してません。

現に、大半の方は、何事もなく妊娠出産を終えます。

しかし、脅すわけではないのですが、周産期医療の現場をみてきた助産師だからこそ、妊娠出産の喜びと同じくらいの怖さを実感してます。

それだけ妊娠出産が命がけだと思っています。

 

妊婦健診・出産費用は要確認

妊娠出産に関わる医療費は、健康保険適用外となり、全額自己負担となります。

国民健康保険などの健康保険組合からは出産育児一時金として42万円の助成金が支払われます。

しかし、妊婦検診費用、出産費用は病院や地域により大きく異なります。

首都圏では、出産費用が100万円前後という施設も珍しくない一方、地方都市では、出産育児一時金の42万円内に収まり、差額を支払う必要がない施設もあります。

同様に、妊婦健診の費用も、妊婦健診受診票の補助額で収まる施設、毎回プラス1万円程度の自己負担がある施設もあり、本当に様々です。

出産施設を選ぶときの一つの目安として希望する施設の費用などはあらかじめ調べておくことをおすすめします。

text:看護師・助産師
永冨 由紀子(ながとみ ゆきこ)

 

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